論語 八佾第三(はちいつ)

論語全文(漢文、訳) : 2014.08.29 Friday

ここでは論語の第三編 八佾第三(はちいつ)の漢文、読み仮名、現代語訳を紹介します。


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八佾第三_01

孔子謂季氏
八佾舞於庭
是可忍也
孰不可忍也
こうしきしをいう
はちいつをていにまわす
これをしのぶべくんば
いずれをかしのぶべからざらん
孔子が季(孫)氏を批判して言った
八列編成の舞踊を自分の庭で舞わせた
この無礼が我慢できるなら
私はどんな事も我慢できる

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八佾第三_02

三家者以雍徹
子曰
相維辟公
天子穆穆
奚取於三家之堂
さんかしゃようをもっててっす
しいわく
たすくるはこれへきこう
てんしはぼくぼくたりと
なんぞさんかのどうにとらん
(魯の)御三家が(祭礼を)雍の歌で締めた
孔子が言った
歌詞に、諸侯は天子を助けて
天子はうるわしくあられるとある
よくその歌を御三家で歌わせたものだ

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八佾第三_03

子曰
人而不仁
如禮何
人而不仁
如樂何
しいわく
ひとにしてふじんならば
れいをいかんせん
ひとにしてふじんならば
がくをいかんせん
孔子が言った
仁愛を持たぬ人が
礼儀正しくしても無意味
仁愛を持たぬ人が
音楽を奏でても無意味

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八佾第三_04

林放問禮之本
子曰
大哉問
禮與其奢也寧儉
喪與其易也寧戚
りんぽうれいのもとをとう
しいわく
だいなるかなといや
れいはそのおごらんよりはむしろけんせよ
そうはそのおさめんよりはむしろいため
林放が礼の基本を尋ねた
孔子が言った
良い質問だ
儀式は華美より、慎ましく
葬式は体裁より、心から悼む

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八佾第三_05

子曰
夷狄之有君
不如諸夏之亡也
しいわく
いてきすらこれきみあり
しょかのなきがごとくならず
孔子が言った
野蛮な国々に君主がいるのに
今の中国には君主が存在していないかのようだ

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八佾第三_06

季氏旅於泰山
子謂冉有曰
女弗能救與
對曰
不能
子曰
嗚呼
曾謂泰山不如林放乎
きしたいざんにりょす
しぜんゆうにいいていわく
なんじすくうことあたわざるか
こたえていわく
あたわず
しいわく
ああ
すなわちたいざんをりんぽうにしかずとおもえるか
季(孫)氏が泰山で祭祀をしようとしていた
孔子はそれを知り冉有に尋ねた
あなたは季氏の不遜な行いを止めれるか
冉有が答えた
出来ません
孔子がいった
ああ
あなたは神聖な泰山が林放にも劣ると思っているのか?

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八佾第三_07

子曰
君子無所爭
必也射乎
揖讓而升下
而飮
其爭也君子
しいわく
くんしはあらそうところなし
かならずやしゃか
ゆうじょうしてしょうかし
しこうしてのましむ
そのあらそいやくんしなり
孔子が言った
人格者は争いを好まない
せいぜい弓の腕前を競うくらいだ
相手に対しお互いが礼儀正しく譲り合い
酒を振る舞う
これこそ君子の争いの作法だ

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八佾第三_08

子夏問曰
巧笑倩兮
美目盼兮
素以爲絢兮
何謂也
子曰
繪事後素

禮後乎
子曰
起予者商也
始可與言詩已矣
しかといていわく
こうしょうせんたり
びもくはんたり
そもってあやをなすとは
なんのいいぞや
しいわく
かいじはそをのちにす
いわく
れいはのちなるか
しいわく
われをおこすものはしょうなり
はじめてともにしをいうべきのみ
子夏が尋ねた
微笑(ほほ)めばえくぼができ
目はぱっちりと美しい
おしろいをつけたその顔はあでやかだ
(と詩経にあるが)どうゆう意味か?
孔子が言った
絵を描くとき最後に胡粉で仕上げる様なものだ
(子夏が)言った
礼とは人間の仕上げの様なものですか
孔子が言った
これは私でも気づかなかった
これからあなたと詩経について語り合えそうだ

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八佾第三_09

子曰
夏禮吾能言之
杞不足徴也
殷禮吾能言之
宋不足徴也
文獻不足故也
足則吾能徴之矣
しいわく
かのれいはわれよくこれをいえども
きはちょうするにたらざるなり
いんのれいはわれよくこれをいえども
そうはちょうするにたらざるなり
ぶんけんたらざるがゆえなり
たらばすなわちわれよくこれをちょうせん
孔子が言った
私は夏王朝の礼について話せるが
杞の国には裏づけとなる資料が伝わっていない
殷王朝の礼についても話せるが
宋の国には裏づけとなる資料が伝わっていない
もし十分な資料が残っていれば
私はもっとそれらから学べるのだが

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八佾第三_10

子曰
禘自既灌而往者
吾不欲觀之矣
しいわく
ていはすでにかんしてよりのちは
われこれをみるをほっせず
孔子が言った
禘の祭事で灌の儀式が終わったあとは
もう私は観る気がしない

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八佾第三_11

或問禘之説
子曰
不知也
知其説者之於天下也
其如示諸斯乎
指其掌
あるひとていのせつをとう
しいわく
しらざるなり
そのせつをしるもののてんかにおけるや
それこれをここにしめすがごときかと
そのたなごころをさせり
ある人が禘の祭礼について尋ねた
孔子は言った
私は知らない
もしそれを知っている人がいるなら
天下をここに置いて観るようなものだろうと
自分の手のひらを指さしながら言った

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八佾第三_12

祭如在
祭神如神在
子曰
吾不與
祭如不祭
まつることいますがごとくす
かみをまつるにはかみいますがごとくす
しいわく
われまつりにあずからざれば
まつらざるがごとし
祖霊を祭る時に
そこに祖先がいるように執り行った
孔子が言った
私が実際に参加しないと
きちんと祭祀をした気分にならないのだ

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八佾第三_13

王孫賈問曰
與其媚於奧
寧媚於竈
何謂也
子曰
不然
獲罪於天
無所禱也
おうそんかといていわく
そのおうにこびんよりは
むしろそうにこびよ
とはなんのいいぞや
しいわく
しからず
つみをてんにうれば
いのるところなきなり
王孫賈が尋ねた
応接間の神様に祈るより
竈(かまど)の神に祈る方が良いと
(ことわざにあるが)どういう意味か
孔子が言った
(そのことわざは)間違っている
天上の神様から罪を受ければ
どの神に祈っても無駄だからである

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八佾第三_14

子曰
周監於二代
郁郁乎文哉
吾從周
しいわく
しゅうはにだいにかんがみて
いくいくとしてぶんなるかな
われはしゅうにしたがわん
孔子が言った
周の文化は2代王朝のものを受け継いでいる
なんともかぐわしく華やかであろうか
私は周の文化や礼制に従う

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八佾第三_15

子入太廟
毎事問
或曰
孰謂鄹人之子知禮乎
入太廟
毎事問
子聞之曰
是禮也
したいびょうにいりて
ことごとにとう
あるひといわく
たれかすうひとのこをれいをしるというや
たいびょうにいりて
ことごとにとう
しこれをききていわく
これれいなり
孔子が太廟で祭事の責任者を務めた時
儀式について細かく先輩に尋ねた
ある人が言った
誰が出自の卑しい人間が礼に詳しいというのだ
太廟での祭事で
細かく尋ねているが
孔子はそれを聞いて言った
これこそ正しい礼の作法というものだ

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八佾第三_16

子曰
射不主皮
爲力不同科
古之道也
しいわく
しゃはひをしゅとせず
ちからをなすにかをおなじくせず
いにしえのみちなり
孔子が言った
弓競技では的を射抜くことが目的ではない
人々の技術力には差があるからである
これは昔から伝わる作法である

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八佾第三_17

子貢
欲去告朔之餼羊
子曰
賜也
爾愛其羊
我愛其禮
しこう
こくさくのきようをさらんとほっす
しいわく
しや
なんじはそのひつじをおしむ
われはそのれいをおしむ
子貢が
告朔に捧げられる羊をやめようと提案した
孔子が言った
子貢よ
あなたは羊を惜しむだろうが
私は伝統を重んじる

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八佾第三_18

子曰
事君盡禮
人以爲諂也
しいわく
きみにつかうるにれいをつくせば
ひともってへつらいとなすなり
孔子が言った
主君に対して礼を尽くして仕えていると
人々は媚びているという

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八佾第三_19

定公問
君使臣
臣事君
如之何
孔子對曰
君使臣以禮
臣事君以忠
ていこうとう
きみしんをつかい
しんきみにつかうるには
これをいかんせん
こうしこたえていわく
きみしんをつかうにれいをもってし
しんきみにつかうるにちゅうをもってす
定公が尋ねた
君主はどの様に家臣を扱い
家臣はどの様に君主に仕えるべきか
どのようにしたらよいか
孔子が答えた
君主は礼儀をもって家臣を扱い
家臣は忠義をもって君主に仕える

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八佾第三_20

子曰
關雎樂而不淫
哀而不傷
しいわく
かんしょはたのしみていんせず
かなしみてやぶらず
孔子が言った
關雎の詩は喜びを表しているが淫らではなく
哀しみを表しているが悲嘆ではない

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八佾第三_21

哀公問社於宰我
宰我對曰
夏后氏以松
殷人以栢
周人以栗
曰使民戰栗
子聞之曰
成事不説
遂事不諫
既往不咎
あいこうしゃをさいがにとう
さいがこたえていわく
かこうしはまつをもってし
いんひとははくをもってし
しゅうひとはくりをもってす
いわくたみをしてせんりつせしむると
しこれをききていわく
せいじはとかず
すいじはいさめず
きおうはとがめず
哀公が宰我に社の神木について尋ねた
宰我は答えた
夏の時代は松を植え
殷の時代は柏を植え
周の時代は栗を植えた
社の刑罰で人々を戦慄させるために
孔子はこれを聞いて言った
起きた事は語らない
遂げられた事は止められない
過去の過ちはとがめない

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八佾第三_22

子曰
管仲之器小哉
或曰
管仲儉乎

管氏有三歸
官事不攝
焉得儉
然則管仲知禮乎

邦君樹塞門
管氏亦樹塞門
邦君爲兩君之好
有反坫
管氏亦有反坫
管氏而知禮
孰不知禮
しいわく
かんちゅうのうつわはしょうなるかな
あるひといわく
かんちゅうはけんなるか
いわく
かんしにさんきあり
かんのことはかねず
いずくんぞけんなるをえん
しからばすなわちかんちゅうはれいをしれるか
いわく
ほうくんはじゅしてもんをふさぐ
かんしもまたじゅしてもんをふさぐ
ほうくんはりょうくんのよしみをなすに
はんてんあり
かんしもまたはんてんあり
かんしにしてれいをしらば
たれかれいをしらざらん
孔子が言った
管仲は器の小さい人間だ
ある人が言った
ケチな人間と言う事ですか
孔子が言った
彼は3つの邸宅を持ち
各邸宅に役割ごとに使用人が居た
どうして彼をケチと言えるだろうか
ある人が、彼は礼をわきまえていましたか?
孔子は言った
諸侯は門に目隠しの生け垣を立てるが
彼は同じように生垣をたてた
諸侯同士が会う時には
盃を載せる台を用いるが
彼は同じように使用していた
彼が礼を弁えていたといえるなら
みんな礼を弁えているだろう

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八佾第三_23

子語魯大師樂曰
樂其可知也
始作翕如也
從之純如也
糠〔
繹如也以成
しろのたいしにがくをかたりていわく
がくはそれしるべきなり
はじめおこすにきゅうじょたり
これをはなちてじゅんじょたり
きょうじょたり
えきじょたりもってなる
孔子が魯の楽官長に音楽について言った
私は音楽について理解している
始めに一斉に大きな音がなり
次に静かに調和する
そして各楽器の特徴を生かした演奏がなされ
最後にすべての音が連なるように終わる

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八佾第三_24

儀封人請見

君子之至於斯也
吾未嘗不得見也

從者見之
出曰
二三子
何患於喪乎
天下之無道也久矣
天將以夫子爲木鐸
ぎのほうじんまみえんことをこう
いわく
くんしのここにいたるや
われいまだかつてまみゆることをえずんばあらざるなり
じゅうしゃこれをまみえしむ
いでていわく
にさんし
なんぞうしなうことをうれえんや
てんかのみちなきやひさし
てんまさにふうしをもってぼくたくとなさんとす
儀の関所を通る時に孔子に面会を求めた人がいた
孔子が言った
すべての人格者がこの関所を通るときに
私はお目にかからないためしはありません

弟子達は彼を孔子に会わせた
面会を終えて出てきた彼が弟子たちに言った
皆さん
孔子が官職を失った事を嘆かないで下さい
天下の人々から道徳や信義が失われて随分たつ
天は孔子を各地にお遣わしなさっているのだ

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八佾第三_25

子謂韶
盡美矣
又盡善也
謂武
盡美矣
未盡善也
ししょうをいう
びをつくせり
またぜんをつくせり
ぶをいう
びをつくせり
いまだぜんをつくさざるなり
孔子が韶(しょう)という曲について言った
とても美しい旋律を持ち
深い感動を呼び起こす曲だ
武王の時代に演奏された曲について言った
とても美しい旋律を持ってはいるが
感動という点においては今ひとつだ

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八佾第三_26

子曰
居上不寛
爲禮不敬
臨喪不哀
吾何以觀之哉
しいわく
かみにいてかんならず
れいをなしてけいせず
もにのぞんでかなしまずんば
われなにをもってかこれをみんや
孔子が言った
人の上に立つが寛容さがない者
礼儀正しいが敬意を持たぬ者
葬儀に参列しながら弔意を持たぬ者
この様な人から美点は見出せない



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