論語 郷党第十(きょうとう) 23文の漢文と現代訳

論語全文(漢文、訳) : 2014.09.04 Thursday

ここでは論語の第十編 郷党第十の漢文、読み仮名、現代語訳を紹介します。


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郷党第十_01

孔子於郷黨
恂恂如也
似不能言者
其在宗廟朝廷
便便言
唯謹爾
こうしきょうとうにおいては
じゅんじゅんじょたり
いうことあたわざるものににたり
そのそうびょうちょうていにあるや
べんべんとしていう
ただつつしめるのみ
孔子が故郷に帰った時は
あまりお話にならず
謙虚な態度をとっていた
先祖を祀る社や朝廷に居る時には
流暢に話した
その場合も謙虚な態度をとっていた

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郷党第十_02

朝與下大夫言
侃侃如也
與上大夫言
譖詛〔
君在
踧踖如也
與與如也
ちょうにしてかたいふといえば
かんかんじょたり
じょうたいふといえば
ぎんぎんじょたり
きみいませば
しゅくせきじょたり
よよじょたり
朝廷に出仕した孔子は下位大臣に対して
和やかに振舞われた
上位大臣に対して
慎み深く振舞われた
主君がいるときは
恭しい態度でありながらも
余裕を失わずに振舞われた

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郷党第十_03

君召使擯
色勃如也
足躩如也
揖所與立
左右手
衣前後
襜如也
趨進
翼如也
賓退
必復命

賓不顧矣
きみめしてひんせしむれば
いろぼつじょたり
あしかくじょたり
ともにたつところにゆうするには
てをさゆうにす
ころものぜんご
せんじょたり
はしりすすむに
よくじょたり
ひんしりぞくや
かならずふくめいして
いわく
ひんかえりみずと
君主の命令で賓客をもてなす時は
緊張してた面持ちで
そろそろと小刻みに歩かれた
共に接待している大臣におじぎをする時は
両手を右や左に
礼服が前後に
優雅に動いた
小走りに歩まれる様は
翼を拡げた鳥の様であった
賓客が退出されると
君主の所まで必ず戻り
報告した
賓客は振り返ることなく帰られたと

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郷党第十_04

入公門
鞠躬如也
如不容
立不中門
行不履閾
過位
色勃如也
足躩如也
其言似不足者
攝齊升堂
鞠躬如也
屏氣似不息者

降一等
逞顔色
怡怡如也
没階
趨進
翼如也
復其位
踧踖如也
こうもんにいるに
きくきゅうじょたり
いれられざるがごとし
たつにもんにちゅうせず
ゆくにしきいをふまず
くらいすぐるに
いろぼつじょたり
あしかくじょたり
そのげんはたらざるものににたり
もすそをかかげてどうにのぼるに
きくきゅうじょたり
きをおさめていきせざるものににたり
いでて
いっとうをくだれば
がんしょくをはなちて
いいじょたり
かいをつくして
はしりすすむに
よくじょたり
そのくらいにかえれば
しゅくせきじょたり
孔子が宮廷の御門を通る時は
身をかがめて通り過ぎた
遠慮がちに
門の中央を通らず
敷居を踏まず
主君の御席の下を通り過ぎる時は
緊張した面持ちで
小刻みに通り過ぎた
席に着いたら無言でおられた
主君のお側へ上る時は
身をかがめ裾を掴んで引きずらなかった
主君の前では息をひそめてかしこまった
階段を下る時は
一段ごとに
表情が
和やかになった
階段を下りて
席へ戻るまでは
翼を拡げた鳥の様に歩かれた
席に戻った後は
恭しい態度を保っていた

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郷党第十_05

執圭
鞠躬如也
如不勝
上如揖
下如授
勃如戰色
足蹜蹜如有循
享禮有容色
私覿
愉愉如也
けいをとれば
きくきゅうじょたり
たえざるがごとし
あぐるにはゆうするがごとく
さぐることさずくるがごとし
ぼつじょとしてせんしょくあり
あしはしゅくしゅくとしてしたがうあるがごとし
きょうれいにはようしょくあり
してきには
ゆゆじょたり
主君より授かった圭をもつとき
恐れ慎み
重さに耐えられないかのようだった
上げるときは挨拶するかのようで
下ろすときは物を授けるかのようだ
顔色はにわかに変わって身震いした
小股でつま先を上げてすり足で歩いた
享礼では感情が態度に現われ
私的な会談になると
愉快な表情をしていた

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郷党第十_06

君子不以紺緅飾
紅紫不以爲褻服
當暑袗絺綌
必表而出之
緇衣羔裘
素衣麑裘
黄衣狐裘
褻裘長
短右袂
必有寢衣
長一身有半
狐貉之厚以居
去喪無所不佩
非帷裳
必殺之
羔裘玄冠
不以弔
吉月
必朝服而朝
くんしはかんしゅうをもってかざらず
こうしはもってせつふくとなさず
しょにあたってはひとえのちげき
かならずひょうしてこれをいだす
しいにはこうきゅう
そいにはげいきゅう
こういにはこきゅう
せつきゅうはながく
うべいをみじかくす
かならずしんいあり
ながさいっしんゆうはん
こかくのあつきもっておる
もをのぞけばおびざるところなし
いしょうにあらざれば
かならずこれをさいす
こうきゅうげんかんしては
もってちょうせず
きつげつには
かならずちょうふくしてちょうす
人格者は衣服を赤茶色で縁取らない
赤や紫色の衣服を普段は着ない
暑い日に単衣の薄衣を着てもよいが
外出時は透けないように上着を着る
黒服には子羊の黒い毛皮をあわせ
白服には子鹿の白い毛皮をあわせ
黄服には黄色い狐の毛皮をあわせる
普段着は長めにしつらえ
右の袂を短くする
夜は寝巻きを必ず着る
長さは身長の1.5倍ほど
床に狐や狸の厚い毛皮を敷く
喪が明けたら装飾品を身に付ける
玉の首飾りなど
喪中に外したものを
黒服と黒い冠で
弔問に訪れない
毎月一日には
朝服を着て出仕する

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郷党第十_07


必有明衣

齊必變食
居必遷坐
さいするときは
かならずめいいあり
ぬのなり
さいするときはかならずしょくをへんじ
きょはかならずざをうつす
斎戒するときは
必ずゆかたを着た
生地は麻の
斎戒するときは必ず食事を変え
住居では必ず座る場所を変えた

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郷党第十_08

食不厭精
膾不厭細
食饐而餲
魚餒而
肉敗不食
色惡不食
臭惡不食
失飪不食
不時不食
割不正不食
不得其醬不食
肉雖多
不使勝食氣
唯酒無量
不及亂
沽酒市脯不食
不撤薑食
不多食
祭於公
不宿肉
祭肉不出三日
出三日
不食之矣
食不語
寢不言
雖蔬食菜羮瓜
祭必齊如也
しょくしはせいなるをいとわず
なますはほそきをいとわず
しょくしのいしてあいし
うおのたいして
にくのやぶれたるはくらわず
いろのあしきはくらわず
においのあしきはくらわず
じんをうしなえるはくらわず
ときならざるはくらわず
きることただしからざればくらわず
そのしょうをえざればくらわず
にくはおおしといえども
しきにかたしめず
たださけはりょうなし
らんにおよばず
こしゅしほはくらわず
はじかみをてっせずしてくらうも
おおくはくらわず
こうにまつれば
にくをしゅくせず
さいにくはさんじつをいでず
さんじつをいずれば
これをくらわず
くらうにかたらず
いぬるにいわず
そしさいこううりといえども
まつるときはかならずせいじょたり
飯の精米具合などを気にしたり
なますの厚みを気にしたりしない
時間が経過して色あせた飯や
魚や
肉は食べない
変色した食べ物は食べない
悪臭のする食べ物は食べない
精気を失った食べ物は食べない
季節はずれの食べ物は食べない
切り口の雑な食べ物は食べない
適切な味付けでなければ食べない
肉は多くても
飯の量を超えて食べてはならない
酒は飲んではならない
酔うほどには
市場で買った酒と干し肉は食べない
口直しの生姜は忘れずに食べるが
食べ過ぎてはならない
主君の行う祭祀で
いただいた肉はその日の内に食べる
自らの祭祀では三日以上肉を供えない
三日以上過ぎてしまった場合は
その肉は食べない
食べる時には話さない
寝るときにも話さない
例え粗末な供え物であっても
祭祀で捧げる時は恭しい態度を損なわない

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郷党第十_09

席不正
不坐
せきただしからざれば
ざせず
座席が曲がっていたら
真っ直ぐに正してから座るべき

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郷党第十_10

郷人飮酒
杖者出
斯出矣
郷人儺
朝服而立於阼階
きょうじんのいんしゅには
じょうしゃいずれば
ここにいず
きょうじんのだには
ちょうふくしてそかいにたつ
故郷の人と酒を飲み交わした時は
年寄りより先に
退出してはならない
故郷の人が儺をする時は
朝服を着て東側の階段に立って出迎える

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郷党第十_11

問人於他邦
再拜而送之
ひとをたほうにとわしむるには
さいはいしてこれをおくる
他国にいる友人に使者を出すときは
使者に対して再拝して送り出す

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郷党第十_12

康子饋藥
拜而受之

丘未達
不敢嘗
こうしくすりをおくる
はいしてこれをうけ
いわく
きゅういまだたっせず
あえてなめず
康子が病気見舞いで孔子に薬を贈った
孔子は丁重に受け取り
使者に対して言った
私はこの薬について何も知りません
今は口にするのを控えたい

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郷党第十_13

廐焚
子退朝

傷人乎
不問馬
うまややけたり
しちょうよりしりぞく
いわく
ひとをそこなえるかと
うまをとわず
馬小屋が火事で焼けた
孔子が宮廷からやってきて
言った
怪我人はいないか?
馬の事は聞かなかった

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郷党第十_14

君賜食
必正席
先嘗之
君賜腥
必熟而薦之
君賜生
必畜之
きみしょくをたまえば
かならずせきをただして
まずこれをなむ
きみせいをたまえば
かならずじゅくしてこれをすすむ
きみせいをたまえば
かならずこれをかう
主君から食べ物を賜った時は
必ず席を正して
少し試食をして受け取られた
主君から生肉を賜った時は
火を通した後で先祖への捧げ物とした
主君から家畜を賜った時は
必ずそれらを飼育した

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郷党第十_15

侍食於君
君祭先飯
きみにじしょくするに
きみまつればまずはんす
主君と晩餐を取る時は
主君がお供えを祭ってる間に毒見をした

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郷党第十_16


君視之
東首
加朝服
拖紳
やむとき
きみこれをみれば
とうしゅし
ちょうふくをくわえ
しんをひく
病の孔子を
主君がお見舞いに訪れた時は
孔子は東枕に寝て
朝服と帯を体にかけて
主君を迎えられた

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郷党第十_17

君命召
不俟駕行矣
きみめいじてめせば
がをまたずしてゆく
主君が孔子を呼び出した時は
馬車の準備が終わる前に家を出た

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郷党第十_18

入太廟
毎事問
たいびょうにいりて
ことごとにとえり
魯国の祖廟に入った時は
作法について事細かに先輩に尋ねた

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郷党第十_19

朋友死
無所歸

於我殯
朋友之饋
雖車馬
非祭肉不拜
ほうゆうしして
きするところなければ
いわく
われにおいてひんせよと
ほうゆうのおくりものは
しゃばといえども
さいにくにあらざればはいせず
友人が亡くなった時は
身寄りの無い場合に
孔子が言った
我が家で葬儀を執り行いましょう
友人からの贈り物は
それが馬車の様なものであっても
祭祀で捧げられた肉のお裾分け以外は受け取らない

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郷党第十_20

寢不尸
居不容
いぬるにしせず
おるにかたちづくらず
寝る時は無様な寝姿を見せなかった
自宅ではくつろいだ雰囲気で過ごした

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郷党第十_21

見齊衰者
雖狎必變
見冕者與瞽者
雖褻必以貌
凶服者式之
式負版者
有盛饌
必變色而作
迅雷風烈必變
しさいしゃをみれば
なれたりといえどもかならずへんず
べんしゃとこしゃとをみれば
なれたりといえどもかならずかたちをもってす
きょうふくしゃにはこれにしょくす
ふばんしゃにしょくす
せいせんあれば
かならずいろをへんじてたつ
じんらいふうれつにはかならずへんず
孔子は喪服を着た人に出会った時は
例え友人であっても襟を正した
礼服を着た人や盲人に出会った時も
例え友人であっても緊張した顔つきとなった
喪服を着た人に対して敬礼をし
死者の戸籍を持った役人に対しても敬礼をした
豪華な食事を御馳走になった時は
立ち上がって主人に謝意を表した
雷や風の日には居住まいを正して天に敬意を表した

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郷党第十_22

升車
必正立執綏
車中不内顧
不疾言
不親指
くるまにのぼるときは
かならずせいりつしてすいをとる
しゃちゅうにてはないこせず
しつげんせず
しんしせず
馬車に乗る時は
真っ直ぐ立って体をささえる綱につかまった
馬車の中では後ろを振り返ったり
大声で話したり
人を指差したりはしなかった

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郷党第十_23

色斯舉矣
翔而後集

山梁雌雉
時哉時哉
子路共之
三嗅而作
いろすればここにあがり
かけりてしかるのちにとどまる
いわく
さんりょうのしち
ときなるかなときなるかな
しろこれをきょうす
みたびかぎてたつ
鳥は人を見て飛び立ち
しばらく飛び回り安全な場所へ着地する
孔子が言った
山の橋の上に雌のキジがいる
ちょうど良い、ちょうど良い
子路はこのキジを捕らえて調理してだした
孔子は三度匂いを嗅ぎ食べずに席をたった



論語全文(漢文、訳)   論語の概要
学而第一 為政第二 八佾第三 里仁第四 公冶長第五   孔子と論語 論語の本と漫画
雍也第六 述而第七 泰伯第八 子罕第九 郷党第十   論語の登場人物
先進第十一 顔淵第十二 子路第十三 憲問第十四 衛霊公第十五   論語の時代背景
季氏第十六 陽貨第十七 微子第十八 子張第十九 堯曰第二十   論語の用語集